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山本 美香さんのこと

ジャーナリスト山本美香さんの訃報に、どうして・・・と絶句。予測できないのが戦場とはいえ、もどかしさや無念さばかりがつのります。
思い出した詩があります。谷川俊太郎作、千羽鶴(『生きていてほしいんです』所収)

感傷の糸につながれて
鳴かず
飛ばず
ただそよかぜにゆれて―
あまりにはかない祈りのかたち
千人針を縫った手が
性こりもなく千羽鶴を折る
ああもどかしい日本!
千羽は無力万羽も無力
あの巨大な悪の不死鳥と戦うには

もう折るな不妊の鶴は
祈るだけでは足りない
誓うだけでは足りない

・・・そして、「伝えずにはいられない」と「行動」した山本さんが、凶弾の犠牲になってしまった。
「悪の不死鳥」によって故郷を戦場にされた人々の想いを、現状を、特に女性や子供たちの状況を伝えなければならない、と山本さんは決意しておられたのでしょう。折る、と祈る、という文字が、同じかたちに見えてくるのが切ない。
ロバート・キャパの自伝を読んだ折に、自分の両脇に居た兵士が死んだ、という極限状況を、淡々と記しているのに仰天しましたが・・・山本さんのお父様が、「素晴らしいジャーナリストでした」とコメントしておられたのが、痛みとなって胸に残りました。

戦争は、「人と人とのいさかい」から始まるのでしょうか。武器商人や、土地や市場を狙う資本家たち、思想や宗教にかこつけて権力を欲する支配者たち、体面を守り、自分の利益を守ることに汲々とする指導者たちが、戦争を利用して自分の欲を満たそうとしているようにしか思えません。

平和な日本に暮らしているとだんだん感覚がマヒしてきますが、世界のあちらこちらで未だに戦争が続いている、という現実を、しっかり受け止められる子どもに育ってほしい。・・・と思うと同時に、危険な目に合わせたくはない、という自分勝手な願いも抱いてしまいます。山本さんのご両親の無念は、いかばかりか・・・

彼女の伝えたかったことを、子どもたちに伝えていくことこそが「冥福を祈る」行為だと思います。
金銭や欲得に流されることなく、正義、という相対的かつ人工的な「ただしさ」に惑わされることなく、平和を強く願う子に育ってほしい。まずは山本さんの書いた本を読むところから・・・。d0264981_2254889.jpg
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-08-26 22:11 | 随想 | Comments(0)
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詩や詩に関わるものごとなど。


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