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ほのめかすこと

たとえば、月を描かずに、月を指差す行為、で月を暗示する仙厓の禅画。
翻る葉の動きで風を示す抱一の大和絵。

対象を直接描かずに、影や気配、対象を見る人、風の痕跡、名残りなどでほのめかすこと。家、のイメージ
心、のイメージ。夢の宿る場所、魂の居場所。

描くことも書くことも、対象を直接かき表すことが出来なくとも、ほのめかすことはできる。直截な表現は、 その表現以上の感興を見る者に引き起こさない。暗示されたものは、見る者の心に届いた時、見る者の心の底に眠っていたイメージまでをも引き出し、表現者の観たイメージに、さらに多角的な側面を与える。

恐らく、万人が共通の基盤として「持っている」あるいは「受け継いでいる」イメージ、というものが、心の底に横たわっているのだ。個々人の心は、矮小なのぞき穴に過ぎないが、その小さなのぞき窓に釣竿を垂れ、共通の基盤のごく一部を釣竿にかけることの出来た者が、小さなのぞき穴から普遍的なもの(の片鱗)を引き出すことが出来る。

できるだけ多くの人が、それぞれののぞき窓から共通の基盤を見つめ、それを世界中の至る所でたゆむことなく引き上げ続ければ、一瞬かいま見えた断片の集合が、共通の基盤のミニチュアの模式図、あるいは一部を取り出した標本として、把握できない「全体」を暗示するものとなるだろう。点描によって示された輪郭線のように。

描くことも書くことも、その断片を暗示する媒体として機能するならば、人類共通の古層の漠然とした全体像を浮かび上がらせることができる。
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by yumiko_aoki_4649 | 2013-07-07 21:12 | 随想 | Comments(0)
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詩や詩に関わるものごとなど。


by まりも
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