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第9回「文芸思潮」佳作入選・・・私の原点「宿題」

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初めて、多色木版に挑戦しました。予期していたものと、実際に行ってみるのとでは、雲泥の差。
見当、は紙一枚の薄さがよい。深すぎると紙がずれる。浅すぎてもダメ。絵の具を版にのせるのだと思っていたら、そうではなく、木地に絵の具をしみこませる。水を制するものは木版を制す・・・目から鱗、のことばかりでした。

本年は、常に原点に立ち返りながら、自分の立ち位置を確かめていきたい、と思っています。

「宿題」を掲示します。まだ詩を書き始めたばかりの頃の作品で、表現技法などに稚拙さが目立つのですが、その分、気持ちがストレートに出ている、自分にとっては大切な詩です。

c・・・が旅立った日の朝
夢を見た

白い小部屋に白木の机
机の上に
一冊の辞書

辞書は開かれていた
ページが
ぐしゃぐしゃに丸められて

丁寧に広げのばすと
そこには
Understandingの文字

その瞬間
四方の壁が燐光を発し
光の渦が押し寄せてきた
恐怖に駆られて壁をたたくと
身体は壁を突き抜けた

外は漆黒の闇
黒さえもない
一切の虚無

私はただひたすらに
闇の底へと
落ち続ける

自分の悲鳴に目を覚ませば
そこはいつもの
見慣れた寝室

私は私の身体を確かめ
ただ呆然と
朝日の中に座り続けた

    *

「これから天国への階段を昇ります」
そんなかわいいコトバを残して
おしゃれな靴をきちんとそろえて
c・・・が自ら旅立った日から
既に二十年が経とうとしている

「わかるよ」
そんなおざなりの一言が
かえってc・・・の心を
切り苛んでいたのではなかったか

答えはない

c・・・の父や母や兄や
祖父母や友や先生や親戚
その他多くの人々の
心に深く刺さった悲しみは
時と共に癒える

しかし
「救えなかった」という悔恨は
そんなだいそれたことを出来ると信じた
自分をあざ笑う仮面となって
未だに中空に留まり続ける

コトバは無力だ

とにもかくにも
c・・・は苦悩から解放されて
幸せの国に行ったのだから
それでよかった、と思うほかはない

  *

闇のただ中にいる者に
「明けない夜はない」などと
陳腐な言葉をかける愚かさ

共に闇の底まで降りて
泥にまみれる覚悟が無ければ
差しのべた手は
すがる者を突き放す
鋭い刃と化すだろう

だが闇の底にいる者が
自らの手で己の足元を照らすための
光のかけらを手渡すことなら
覚悟の定まらぬ者にも出来る

世界のどこかで眠り続ける
光のかけらを探し求めて
闇の力につぶされぬように
磨いて磨いて磨きぬいて
そっと「あなた」に手渡していく

それが
c・・・に課された「宿題」
のような気がしてならない
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by yumiko_aoki_4649 | 2014-01-02 16:04 | 詩、エッセイ | Comments(0)
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詩や詩に関わるものごとなど。


by まりも
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