Yumiko's poetic pictures

yumikoaoki.exblog.jp ブログトップ

星を産んだ日(詩と思想新人賞入選作品)

d0264981_17332378.png

詩を書き始めて、比喩、ということの意味を、初めて真剣に考えました。
伝え得ないこと、を、なんとか他者に伝えようと苦しんだりもがいたりする。それが人の宿命であるなら。
自分にしかわからないことを、どのように他者にもわかる言葉で伝え得るか、ということを探るならば。

比喩、その大切さ。

考えてみれば、聖書も仏典も、たとえや比喩によって、真理を語っているのでした。

喉から手が出るほどに、他者と共有しうる表現、が欲しい。伝える、ために。(実際に、喉から手がでるイメージが浮かぶと、いささか戦慄しますが・・・)

「星を産んだ日」は、自分の伝えたいこと、を掘り下げて行ったときに、最後に残ったテーマです。
詩と思想新人賞に応募し、初めてながら入選に選んでいただいた、今、一番大切な作品でもあります。

火の塊が私の中を降りる
押し開く力に息をあわせ
覚悟という言葉を押し出す
引き裂かれる痛みが全身の骨を走り
あふれこぼれて 皮膚の内に張り詰める
全ての緊張が一息に流れ出した瞬間
心臓をむき出したような赤い産声が響いた

汗にまみれた白い分娩台の上で
しわしわで赤い火の玉を胸に抱く
胎脂でべたべたの手足でもがき
小さな口を大きく開けて
乳首を求めて挑みかかる
吸い上げられて再びつながる
母と子の ふたつのからだ
ざわめいていた心が静まり
小さな口めがけて流れこんでいく

広げた両手にすっぽりおさまる
わずか2640グラムの重み
手足をそっと のばそうとしても
ばねのように力を弾いて
すぐに丸まってしまう

私が思わず指で触れると
すばやく小さな手が動いて
ぎゅうっと熱く握りしめた
その時 私の暗く深い場所から
熱く逆巻くものがほとばしり
押し寄せる黒い流れと一体となって
私を包み 通り過ぎていった

洗い浄められ
真白い産着に包まれると
たちまち人の顔となる不思議
寝入る息にリズムをあわせながら
内から火照るように沸き起こる記憶に
そっと心の指をひたす

あのときふたりを取り巻く大気が
ぬるく温かいものとなって
わたしたちをくるんでいた
闇の中で熱く燃える火の玉が
しだいに白く輝きを増す
無数の点滅する光の中で
ひとつだけがぐんぐんと膨れ上がり
私を呑みこむ のみこまれる

黒い流れのただ中にいて
いのちの周りだけ ほうっと明るい
指をつかむ小さないのち
どくどくと赤い律動
赤ん坊の私が私の指をつかみ
私の母が指をつかまれ
またその母へ
闇の中にのびていく
赤い 一本の流れ

握りしめる握力の内に
保たれてきた脈動の記憶
その流れの中に
私は今も 包まれている
[PR]
by yumiko_aoki_4649 | 2014-01-02 17:38 | 詩、詩論 | Comments(4)
Commented at 2014-01-21 09:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2014-01-21 20:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 戸村一志(某詩板の、とむ、です at 2014-02-13 02:40 x
戸村一志(某詩板の、とむ、です)

何かを連想するな、と思ったら
これでした、中島みゆきの永久欠番、の挿絵。

http://www.null-box.com/cgi-bin/so/No_31380.jpg

モチーフが、死か生か闇か光か、で、違う気もしますが
しかしそれらは物理的なものと言うより・・・
それらも入り混じった霊的な意味でのひかり
(なにか、やさしいもの)というか
そういうものを、どちらにも感じます
根底・テーマに繋がりを感じるというか。うまく言葉にできませんが。

中心にる小さな人の光は希望の子でしょうか。
奥にいる生命達は形があいまいになっていて
原初の生命や星そのものの様なものもイメージされました。

私は絵も詩も描くのが好きなのでいい刺激になります。
Commented by yumiko_aoki_4649 at 2014-02-13 22:39
コメントありがとうございます!ブログの方は、今は月に一度くらいの更新になっていますが(^_^;)よろしくです。
line

詩や詩に関わるものごとなど。


by yumiko
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite