Yumiko's poetic pictures

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手紙

抱きしめても抱きしめても抜けがら

月光が薄く流れ込む部屋
鏡台の引き出しから取り出した手紙
文字に折りたたまれた笑顔は
鏡から引きはがされた断片
つなぎあわせても綴じあわせても
あなたの目が映していた私を
取り戻すことができない

重なりあう三面鏡の浅葱色の道の奥に
あなたのやわらかな絵筆がひかっている
私のりんかくを埋めていった
なめらかなセーブルの穂先
置き忘れられたものを
ふり返ることもせずに
ガラスの扉を閉じてしまった

 あなたがつぶてを浴びている時
 私は羽毛ふとんの中にいました
 不用意に取りこぼした
 角張った言葉のかけら
 私の落として行ったものも
 その中にあったはずです

耳をふさぐ闇の底で
かすかに鉄錆びが臭う
水の流れる音がする
あるいは血の川かもしれない
手紙を舟に折り直したら
水脈に浮かべられるだろうか
ほんとうの想いがそこにあるなら
舟は流れをさかのぼり
源を探り当てることができる
舟があなたの元にたどりつくまで
私は息を吹きかけ続ける

『ユリイカ』2014年8月号入選
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by yumiko_aoki_4649 | 2014-07-31 22:26 | 詩、詩論 | Comments(5)
Commented by うき at 2014-08-02 09:53 x
すてきい(●^o^●)
絵でも映画でもない、詩でしかあじわえない情景が浮かびました。
すごいいいです。おめでとうございます♪
Commented at 2014-08-02 23:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yumiko_aoki_4649 at 2014-08-04 09:59
ありがとう♪ ブログって、フリーマーケット、みたいなものだと思っていて・・・たしかに、公開されているところでしょ、という意見もある、と思うけれど、よほど大きい、集客力のあるお店以外は、自分のお店で話していること=自分の部屋で話していること、みたいな感じになっていく、ところがある、と思うのです。でも、壁に耳あり、障子に目あり、ともいうし(笑) うおのめは、全部が公開だから、そこも気に入っている一つの理由、なんですけれどね。 ツイッターは「うにちゃん」でやっています。相互フォローすれば、DMのやり取りもできますよ。
Commented by 夏生 at 2014-08-07 16:57 x
こんにちは! ツイッターのフォローと青木さんからいただきましたコメントを返信させていただきました。
ユリイカ掲載おめでとうございます!
青木さんの詩は細部まで整った、爪の先まで磨かれた言葉が
バランスよく配置されていて、濃度が変わらず、かなしみは軽やかで美しく静かな光をもっていて。艶やかな雰囲気と香りがあって。
自分がいかに大雑把に書いているか、痛いほど実感しました。
贖罪とかなしみと、変わらぬ愛しさとが静かに流れている一篇でした。
Commented by yumiko_aoki_4649 at 2014-08-08 09:29
ありがとうございます。夏生さんも、芯がある詩を書かれるので、いつも楽しみに拝見しています。おおざっぱ、というよりも、丁寧すぎるのかもしれない、ですね。読者に伝えよう、という想いが強い、というのか・・・私も書き始めた頃、説明的過ぎるとか理屈っぽいと言われました。もっと読者を信頼せよ、と・・・。前後の事情を具体的に説明していくことで、その時に感じた情感を感じさせる、という、リアリズム、あるいは写生的な作風もあると思います。他方、具体的な事情はあえて伏せて、その時の情感に焦点を当てる、というような書き方もあるでしょう。どちらが良い、ということではなくて、自分がどの方向を選ぶか、ということだと思っています。
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