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詩とファンタジー 秋号

詩とファンタジーの秋号に「放流」という詩を載せていただきました。
どなたが絵を描いてくださるのだろう、とワクワクしながら待っていました。

さっそく、届いた秋号を開いてみたら、味戸 ケイコさんの、神秘的で奥行きのある絵が!
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水の底のようでいて、宇宙にたゆたっているような暗さと安らぎ、一抹の淋しさ・・・。

放流

金魚がするりと逃げていく
あなたがすくいあげてくれると思ったのに
さよならも言わずに行ってしまった
激しくふるえる胸を開いて
からっぽの水槽に水を汲みいれる
わずかに積もる砂の上に
残された卵を探す

あなたの井戸は
地球の芯に届いているから
きっと涸れることはない
ふつふつと砂を巻き上げるあなたの
胸の中にいくら指を差し入れても
やわらかくからみつくのは
生ぬるい水の流ればかり

ひび割れた水槽から
少しずつ水が漏れだしていく
もう逃がしてやりましょう
透き通って世界を映す粒々を
閉ざされることのない場所で
おまえたちだけはせめて
好きなところに泳いで行けるように

水槽の縁に触れた指の
腹からいつのまにか滴りが落ちて
湿った砂地に吸いこまれていく
私は私の手で始末をつけよう
あなたとの間に横たわる川に
すくいあげた卵をそっと
とき放つ

他にも素敵な詩や絵がたくさん載っているので、書店などで見かけたら手に取ってみてください。
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by yumiko_aoki_4649 | 2014-10-17 15:59 | 詩、エッセイ | Comments(0)
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詩や詩に関わるものごとなど。


by まりも
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