Yumiko's poetic world

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星の王子様

 『星の王子さま』の原題は“Le Petit Prince”。星の、というコトバはありません。内藤濯氏の、まさに超訳。生前の内藤先生を知る方から、「人は誰でも自分の心の中に学校を持っている」という珠玉の言葉を教わりました。含蓄があります。
 子どもの頃は、様々な星をめぐってきた王子と、地球人との対話、という表のストーリーしか読むことができませんでした。終わり方も不可解。なぞばかりが残る厄介な本でした。でも、大人になって読み直して、王子と王子が愛した薔薇との、切ないまでの行き違いが、胸に迫ってくることに気が付きました。
 王子を愛しながら、それを素直に表現できない薔薇。自分は動くことができず、人間になって王子に近づくこともできない、そんなもどかしさが、薔薇のわがままを加速させたのかもしれません。薔薇に振り回された挙句、薔薇の気持ちを読み取れないまま自分の「ふるさと」をすら捨てて、逃げ出そうとする王子。薔薇のそばを離れて初めて、自分の星の素晴らしさや薔薇の想いの深さに気づくのです。
 自分の星を守るために、バオバブをヒツジに食べさせたい、という王子のセリフも、象徴的です。ヒツジはイエス・キリストを連想させます。星をめちゃくちゃにする、虚栄の大木を、まだ小さな内にヒツジに食べさせたい、という作者の願いでしょうか。でも、そのヒツジが「愛する薔薇」を食べてしまったらどうしよう、と、また小さな王子は思い悩みます。
d0264981_16222940.jpg王子の住んでいた小さな星、は、いったいどこにあるのでしょう。誰もが心の中に持っている、自分だけの領域のような気がしてなりません。
 こどものまなざしで「世間」や「社会」を見るとき、私たちは王子と同じ小さな星の上に立って、地球の上の出来事を驚きの目で見ることができるのかもしれません。
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-28 16:26 | 随想 | Comments(0)

クライドルフ展

クライドルフ展に行ってきました。流麗かつ繊細な線、丁寧な彩色。19世紀後半から20世紀前半、という時代ながら、まったく古さを感じさせません。柔らかな写実を追及した「オトナ向け」の絵も展示されていましたが、その写実の先に展開する、「擬人化された生き物たちの世界」の豊かさに、しばし時を忘れました。
アーサー・ラッカムの妖精画に近いものを感じますが、クライドルフの線はより簡潔で、日本画的な印象をすら受けます。
人間臭い、ユーモラスな昆虫のそぶりや、顔や手足のついた草花の世界は、擬人化、という言葉の用法に当てはまりません。大人が子どもの為に「わかりやすく人間になぞらえて語る世界」が擬人化された表現、であるなら、クライドルフの世界は、あらゆるものが自ずから語りかけてくる幼年時代の再現、あるいは幼心を通して見つめた世界の正直な表現、ということになるでしょうか。子どもの頃に羽目板の節穴に顔を見つけてドキッとしたり、空の雲に顔を見つけたりしたときの感覚に近い、肌なじみのよい、どこか懐かしい世界です。渋谷Bunkamura、7/29日まで。d0264981_17463444.jpg
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-26 17:48 | 美術展感想 | Comments(0)

この山のむこうに

NHKカルチャーラジオの公開収録講座(童話屋の田中和雄氏による『詩のトビラ ひらけごま!』)を受講中です。もうすぐ終了ですが、田中さんの優しく平易な語りかけの中に、気づくこと、発見すること、驚かされることが山ほど。本日テキスト発売とのこと、楽しみです。放送は、NHKラジオ第二放送で、7/6~9/28(金)20:30~21:00。田中さんの率直なお人柄と時代に敏感な感性、次代を担う子どもたちに対する、静かだけれども力強い情熱を、間近で感じることができました。とても素敵な講座でした。
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工藤直子さんが詩を「採集」する「のはらむら」は、いったいどんなところなのでしょう。きっと、こんな山の向こうに、のびやかに広がっているのではないか。そんな気がしてなりません。
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-25 09:43 | 絵画 | Comments(0)

沖縄全戦没者追悼式に思う

金城さんの素晴らしい詩を聞いて、青い海の底からすくいあげた「声」を、白い砂浜にそっと置いていく、そんな印象を受けました。・・・失われた声を汲み取り、代弁し、引き継いでいく、という新たな決意とともに若者の志を提示する、金城さんの美しい言葉の後に続いた野田総理の言葉が、白々しく色あせて聞こえました。
「声」に耳を澄ますこと。聞く心を持つこと。今の、そしてこれからの私たちの、共通の課題です。d0264981_14503830.jpg
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-23 14:52 | 随想 | Comments(0)

幸せな王子

オスカー・ワイルド作『幸せな王子』(リトルモア出版、清川あさみ絵、金原瑞人訳)
一読、強烈なインパクトを受けました。子どもの時に読んだうろ覚えの記憶を塗り替える迫力です。
「分け与えるもの」を持っているのに、本当に必要とする人のもとへ届けることのできない王子。自由に飛び回ることができるのに、「分け与えるもの」を持っていないツバメ。ツバメは、王子のせつなさ、もどかしさをわがものとして、いつしか王子の意志となり心となって働き、やがて息絶えます。ツバメが死ぬとき、それは王子が死ぬとき。銅像の王子の心臓がパックリ割れる、という生々しさに、戦慄を覚えました。
王子(詩神)ツバメ(詩人)あるいは、王子(神)ツバメ(私)と重ねて読みたい、そんな気もします。
王子(銅像)は母を知りません。母の暖かさにどれほど憧れたことでしょう。そんな思いも重ねつつ、自分なりに表現してみました。
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-22 18:12 | 絵画 | Comments(0)

ブログ始めました!

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初めて出品した公募展で、幸いにも入選することができました。あらゆる人に、再び春がめぐってきますように、という想いをこめて描きました。6月28日から7月2日まで上野の森美術館に展示された後、せんだいメディアテーク(9月7日~12日)に巡回していただけることになりました。この受賞を励みに、心をこめて絵を描き続けたい、と思います。
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by yumiko_aoki_4649 | 2012-06-20 11:43 | 絵画 | Comments(0)
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詩や詩に関わるものごとなど。


by まりも
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