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[ 2014-12 -04 14:36 ]
たどたどしい手つきで
タオルの上に寝かしつけて
娘が小さなふとんをかけてやる
添い寝する娘のかたわらで
ゆっくり育っていく河原の石
膨らんでいく石の腹に
記されている火の記憶
幾重にも刻まれた傷痕
内から開かれるにつれ
こぼれ落ちていく文字
指先で触れるたびに
私の芯で沸騰するものがある
息でぬくめられた小石
じっとみつめていると
しだいに溶けて丸く窓が開いて
引きこまれていく脈動する闇
くらやみの中で星がひとつまたひとつ
生まれ耀く瞬間を見る
耳の中で息が膨らんでは閉じ
娘の匂いがくびすじをすべり
つなぐ手をのばそうとしても
私のからだの見つからぬ安息
カーテンのふくらみから
降りてきた光の中で
娘が静かに目を開き
石をタオルにくるみこんで
タンスの引き出しにしまう
眠りから解き放たれた文字が
光の中を浮遊している
